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かわしま法務事務所の電磁的事件簿 ~笑う門には福来る~

民事信託は決して万能ではない② ~遺言との比較と併用について

※民事信託の基本的な事は下記の記事をご参照いただければ嬉しいです。
【民事信託って何? ~民事信託の基礎知識~】

前回の記事では民事信託と成年後見制度との比較を取り上げましたが、
今回は遺言との比較についてです。

民事信託では、第二の受益者を定めたり
信託終了後の財産の行方を定めたりすることで財産の承継を設計でき
遺言による財産の承継機能の代用として活用することが出来ますが、
遺言には相続財産の承継先を定める以外にも効果があります。

例えば結婚をしていない女性との間に生まれた子供を認知することも
遺留分減殺請求をされたときにどの財産から減殺していくかの指定も可能です。

遺言と言うと財産の承継機能ばかりが着目されがちですが、
ケースによってこうした定めをきめ細やかに置く必要がある場合には遺言が適しており、
必ずしも民事信託で全てカバーできるわけではありません。

また民事信託を活用することで管理承継の決まりを定められるのは信託財産であり、
もし民事信託だけで全ての財産の相続先を定めようとした場合、
本人の財産全てを信託財産としなければならなくなります。

実務上は全ての財産を信託財産にすることはほとんど無く、
手元に何らかの財産を残しておくことが一般的ですので、
手元に残した財産の承継については遺言等による対応が必要となります。

その一方で、民事信託で遺言機能を活用するときのメリットとしては
〇 遺産分割協議を終わらせなくても受託者が引き続き管理運用できること
〇 受益権を分割して承継することが可能なため、共有名義にせず利益を分け合えること
〇 遺言では実現できない数代先の財産の承継の指定もできること(一定の制限あり)
といったところがあり、こうした意図があるのであれば
民事信託を財産承継の手法として活用する意義は大きいものと考えます。

民事信託は様々な状況に応じて柔軟に設計することが出来ますが、
全ての状況に「民事信託だけ」で対応できるかというと、そういうわけではありません。
現実的には、民事信託では対応出来ない部分を他の制度で補ったり、
むしろ他の制度を利用する方が思いを叶えられる場合もあります。

そんなご依頼者一人ひとりにとって最適な対策を、インターネットや書籍などで
自力で見出すのは難しいかもしれません。そんな時に頼りにしていただければ幸いです。

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