Loading

かわしま法務事務所の電磁的事件簿 ~笑う門には福来る~

任意後見 -自分で設計する後見制度②

前回の記事はこちらです
任意後見 -自分で設計する後見制度①

自分が認知症などで判断能力が低下した後のことを考える中で、
「自分で設計する後見制度」として任意後見制度があることは
前回記しましたが、 今回はこの任意後見制度のお話の続きです。
(ちょっと前回から間隔が空きすぎてしまいましたが…)

前回でも少し触れましたが、現在この任意後見制度を利用している方は
あまり伸びておらず、全国で2千~3千人程度に留まります。
認知症を発症している高齢者が500万人前後と言われる中で
この利用者数は非常に少ないように感じられます。

この理由としては任意後見制度自体の認知度の低さや
制度の趣旨、利用方法の難しさもありますが、
制度を悪用し本人の財産を狙う事例が後を絶たないこともあるようです。

そして、もう本人が任意後見が開始すべき状態であるにもかかわらず、
家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てを行わずに、
本人の財産を自由に使ってしまう等の事例も耳にします。

任意後見制度そのものは、身上保護において本人の自己決定を
最大限尊重できうる制度ですが、制度運用を正しく行う必要があります。
こうした悪用事例が続けば制度を安心して活用することは難しくなります。

任意後見の利用を考える場合、後見人の担い手が単に仲が良いから、
真面目そうだからというだけではなく、自分自身の財産状況や健康状態、
親族との関係なども全て把握された上で適切な判断を続けられるかどうか、
その適性はよく吟味する必要があります。

弁護士や司法書士など、費用はかかっても安心を確保するために
専門職にお願いするというのも一つの方法だと考えます。

そして任意後見制度の利用の上での注意点としては、
財産の管理運用をより柔軟に積極的に行いたい場合は民事信託で対応した方が良いケースもあり、
任意後見制度で本人の希望に従った身上保護を行い、
財産管理については民事信託でカバーするという併用も考えられます。

私自身このブログなどで民事信託の話をする機会は多く
民事信託の制度が有用であると考えているのは間違いないですが
何でも信託を使えばたちどころに問題が解決するとは考えていません。
様々な制度の長所や利点を知り、比較しながら一番その方に適したものを
提案し設計していくことが大切だと考えています。

「安心な人生設計」のために最適な制度設計は、一人ひとり異なります。
皆様の思いや希望に一つ一つ耳を傾けながら、
一人でも多くの方が安心して過ごしていけるように、
様々な制度を駆使しながら実現していければと考えています。

関連記事

  1. 相続登記手続は避けて通れない
  2. 自筆証書遺言を法務局で保管できる制度の創設①
  3. 最終的に大切なのは自分自身の意思
  4. 民事信託は決して万能ではない② ~遺言との比較と併用について
  5. 「相続登記を自分でやってみよう」と考えるその前に
  6. 電話からSNSへ、連絡ツールは変わっていくけれど
  7. マスメディアの民事信託活用への注目を受けて
  8. 超高齢社会における民事信託の活用に関する講演

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP