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かわしま法務事務所の電磁的事件簿 ~笑う門には福来る~

抵当権抹消登記を放置してしまったら

登記のご依頼をいただく中でしばしば出会うのが、抵当権抹消登記手続の放置。
ケースによっては手続きの完了まで大変なものもあります。
今回はその中の一つの例についてお話します。
(今回のケースは実際にあった話を改変しています)

きっかけは亡くなられたご主人様名義となっている不動産の
相続による所有権移転登記のご依頼をいただいたことでした。

不動産の権利関係を調査するために登記簿を確認すると、
数十年前に完済したはずの借入に関する抵当権の登記が
一部の不動産に残ったままであることが判明しました。

奥様はご主人様に不動産の手続に関して全てを任せきりで
借入の存在は知っていましたが、完済後の借入先とのやり取りや
手続については全く知らず、書類も完全に紛失した状態でした。
そもそも抵当権の登記の存在すら把握していませんでした。

奥様は相続登記が終わったらこの不動産を売却しようと思っていましたが
抵当権の登記が残ったままの不動産は買い手からは敬遠されます。
抹消しなければ、まず売却はできないでしょう。

その借入先が金融機関であれば、比較的「ありがち」な話なのでしょうか。
問い合わせると少し書類のやり取りに時間はかかりますが
ある程度スムーズにご協力いただくことはできます。
とはいえ個人で金融機関に問い合わせて進めるのは困難だと思いますので
司法書士に依頼されるのが適切なお話ではあると思いますが。

ところが、今回のご依頼の抵当権者さんは金融機関ではありませんでした。
相手方の連絡先をやっとのことで調べ上げて連絡をしても、
その相手方はこの取引は既に終わったものと考えて
資料を破棄してしまったため詳細を把握できないと困惑の様子。

とはいえこの抵当権を残し続けることの不利益をお伝えし、
どうにか抵当権抹消登記手続のご協力をいただけることになりました。
しかし、このご返事をいただくまでに今回は数ヶ月の時間と労力を要しました。

そして、抵当権抹消に関する資料を全て紛失していましたので、
抵当権設定登記を行った当初の登記済証もありませんでした。
そのため相手方には、登記申請を行ったときに法務局からの
事前通知の対応も求められ、重ねてお手数をおかけしました。

抵当権の登記は、借入が完済されても自動的に抹消されることはなく、
当事者の協力のもと登記手続を行って初めて抹消されるものです。
最近はインターネットなどで抵当権を自分で抹消する方法を容易に調べることができ
「こんな簡単な手続きを司法書士に依頼するなんて馬鹿らしい」と
抵当権抹消登記手続の重要性を軽く扱う声も聞こえるようになりました。

手続そのものは簡単と思われるかもしれませんが、
この重要性は後々の手間や迷惑を考えれば決して軽視できません。
抵当権者としても、抹消するときに「顧客に書類を返して終わり」ではなく、
「司法書士への取り次ぎまで提案する」ことは大変重要だと感じます。

そしてネット情報をそのまま鵜呑みにして
「たかが抵当権抹消」とはゆめゆめ思うなかれ…

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